論理記号とは~数学を記述する上での基本言語~
数学においてよく使う論理記号とその使い方について解説します。
解説の前に、なぜ論理記号を知っておく必要があるのかを簡単に説明しましょう。
端的に言えば、論理記号が数学で空気のように当たり前に使われているからです。
日本語や英語など、普段人間が使用する言語にはどうしても曖昧さが混じってしまいます。特に修飾語など、どこにかかっているかは文脈から読み取るしかないというケースが多いです。
厳密さを重んじる数学では、記述が曖昧になってしまうことをなるべく避けます。そのために、取り扱う対象や概念は論理記号を用いて定義されることが多いのです。
ですので、論理記号に慣れ親しんでおかないと、数学書の最初の数ページでつまずいてしまうことになりかねません。
ここで最低限よく使う論理記号については押さえておきましょう。とりあえずこれだけ押さえておけば、入門書を読むときには心配ないと思います。
◆Def.SetTop.1.1.1. (よく使う論理記号一覧)
否定
かつ
または
~ならば
同値記号(~ならば、またそのときに限り)
すべての、任意の
~が存在する、少なくとも一つある
~がただ一つ存在する
もしくは
~と定義する(等式の場合)
~と定義する(論理式の場合)
注:~ならばの記号 ⇒ と 同値の記号 ⇔ が で打つと、このブログでは表示上潰れてしまうようです。見た目的に何となく伝わると思いますので、とりあえずこれでやります。
順番に使い方を見ていきますが、その前に命題という言葉について説明しておきます。
命題
真か偽かを判定できる文のことを命題と言います。命題を文字で表す場合は などの大文字で表したり、あるいは小文字で表したりします。
「三角形の内角の和は である」は命題です。この命題は正しいので真となります。
「 である任意の実数
に対し、
を満たす実数
はただ一つ存在する」は命題です。この場合、
と二つ存在するため、この命題は偽となります。
「雪国には美人が多い」は命題ではありません。「雪国」と「美人」と「多い」の定義がはっきりしないため、真偽を判定できないからです。もしこれらの言葉を厳密に定義すれば、「雪国には美人が多い」は命題となります。
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