大学数学

写像.5 像と逆像に関する演算

像と逆像に関する演算

ここでは、像と逆像に関する演算についてまとめておきます。


◆Prop.SetTop.3.5.1.

f \colon X \rightarrow Y を写像、A,B \subset X とし、U,V \subset Y とする。
また、I を添字の集合、(A_i)_{i \in I} を各 i につき A_i \subset X であるような集合族、(U_i)_{i \in I} を各 i につき U_i \subset Y であるような集合族とする。

  1.  f(A \cap B) \subset f(A) \cap f(B)
  2.  f(A \cup B) = f(A) \cup f(B)
  3.  f^{-1}(U \cap V) = f^{-1}(U ) \cap f^{-1}(V)
  4.  f^{-1}(U \cup V) = f^{-1}(U ) \cup f^{-1}(V)
  5.  f(A) \subset U  \Leftrightarrow A \subset f^{-1}(U)
  6.  A \subset f^{-1}( f(A))
  7.  f(f^{-1}(U)) \subset U
  8.  A \subset B \Rightarrow f(A) \subset f(B)
  9.  U \subset V \Rightarrow f^{-1}(U) \subset f^{-1}(V)
  10.  f^{-1}( U \verb|\| V ) = f^{-1}(U) \verb|\| f^{-1}(V) 特に  f^{-1}( Y \verb|\| U ) = X \verb|\| f^{-1}(U)
  11.  (f|_{A})^{-1}(U)= A \cap f^{-1}(U)
  12.  f( \bigcap_{i \in I} A_i) \subset \bigcap_{i \in I} f(A_i)
  13.   f( \bigcup_{i \in I} A_i) = \bigcup_{i \in I} f(A_i)
  14.  f^{-1}( \bigcap_{i \in I} U_i) = \bigcap_{i \in I} f^{-1}(U_i)
  15.   f^{-1}( \bigcup_{i \in I} U_i) = \bigcup_{i \in I} f^{-1}(U_i)

■Prf.

1.

8.を示せば、 f(A \cap B) \subset f(A) および  f(A \cap B) \subset f(B) が成り立つことからただちにしたがう。

2.

8.を示せば、f(A \cup B) \supset f(A) および f(A \cup B) \supset f(B) が成り立つから、f(A \cup B) \supset f(A) \cup f(B) である。

また、y \in f(A \cup B) をとると、定義よりある x \in A \cup B が存在して y=f(x) とかける。ここで、x \in A のとき f(x) \in f(A)x \in B のとき f(x) \in f(B) であるから、y=f(x) \in f(A) \cup f(B)
したがって、f(A \cup B) \subset f(A) \cup f(B)
よって示された。

3.

    \begin{align*} f^{-1}(U \cap V) &= \{ x \in X \mid f(x) \in U \cap V \} \\ &= \{ x \in X \mid f(x) \in U \land f(x) \in V \} \\ &= \{ x \in X \mid x \in f^{-1}(U) \land x \in f^{-1}(V) \} \\ &= f^{-1}(U ) \cap f^{-1}(V) \end{align*}

4.

    \begin{align*} f^{-1}(U \cup V) &= \{ x \in X \mid f(x) \in U \cup V \} \\ &= \{ x \in X \mid f(x) \in U \lor f(x) \in V \} \\ &= \{ x \in X \mid x \in f^{-1}(U) \lor x \in f^{-1}(V) \} \\ &= f^{-1}(U ) \cup f^{-1}(V) \end{align*}

5.

\Rightarrow を示す。
x \in A のとき、f(x) \in f(A) \subset U であるから、x \in f^{-1}(U) である。
\Leftarrow を示す。
y \in f(A) とすると、ある x \in A が存在して y=f(x) とかける。A \subset f^{-1}(U) であるから、x \in f^{-1}(U) であり、y=f(x) \in U である。

6.

x \in A のとき f(x) \in f(A) だから x \in f^{-1}(f(A))

7.

y \in f(f^{-1}(U)) とすると、ある x \in f^{-1}(U) が存在して、y=f(x) とかける。x \in f^{-1}(U) だから、y=f(x) \in U である。

8.

y \in f(A) をとると、ある x \in A が存在して、y=f(x) とかける。ここで、A \subset B であるから、x \in B
よって、y=f(x) \in f(B) である。

9.

x \in f^{-1}(U) をとると、f(x) \in U \subset V だから x \in f^{-1}(V)

10.

    \begin{align*} f^{-1}( U \backslash V ) &= \{ x \in X \mid f(x) \in U \backslash V \} \\ &= \{ x \in X \mid f(x) \in U \land f(x) \notin V \} \\ &= \{ x \in X \mid x \in f^{-1}(U) \land x \notin f^{-1}(V) \} \\ &= f^{-1}(U ) \backslash f^{-1}(V) \end{align*}

特に、x \in X のとき f(x) \in Y であり、かつ f^{-1}(Y) は定義よりX の部分集合であるから、f^{-1}(Y)=X
これに上の式を適用して  f^{-1}( Y \verb|\| U ) = X \verb|\| f^{-1}(U) を得る。

11.

\subset を示す。
f|_{A}A から Y への写像であるから、逆像の定義より  (f|_{A})^{-1}(U) \subset A である。また、x \in (f|_{A})^{-1}(U) のとき  f|_{A}(x) =f(x) \in U であるから、x \in f^{-1}(U) したがって、 (f|_{A})^{-1}(U) \subset f^{-1}(U)
よって、 (f|_{A})^{-1}(U) \subset A \cap f^{-1}(U)
\supset を示す。
x \in  A \cap f^{-1}(U) をとると、 f|_{A}(x) =f(x) \in U であるから、 x \in (f|_{A})^{-1}(U)

12.

i \in I について、f( \bigcap_{i \in I} A_i) \subset f(A_i) であることからしたがう。

13.

i \in I について、 f( \bigcup_{i \in I} A_i) \supset  f(A_i) であるから、 f( \bigcup_{i \in I} A_i) \supset \bigcup_{i \in I} f(A_i) である。

y \in f( \bigcup_{i \in I} A_i) をとると、ある x \in \bigcup_{i \in I} A_i) が存在して、y=f(x) とかける。ある i \in I が存在して x \in A_i であるが、このとき y=f(x) \in f(A_i) である。ゆえに、y=f(x) \in \bigcup_{i \in I} f(A_i) であるから、 f( \bigcup_{i \in I} A_i) \subset \bigcup_{i \in I} f(A_i) である。

14.

    \begin{align*}  f^{-1}( \bigcap_{i \in I} U_i) &= \{ x \in X \mid f(x) \in \bigcap_{i \in I} U_i \} \\ &= \{ x \in X \mid \forall i \in I ,f(x) \in U_i \} \\ &= \{ x \in X \mid \forall i\in I, x \in f^{-1}(U_i) \} \\ &= \bigcap_{i \in I} f^{-1}(U_i) \end{align*}

15.

    \begin{align*}  f^{-1}( \bigcup_{i \in I} U_i) &= \{ x \in X \mid f(x) \in \bigcup_{i \in I} U_i \} \\ &= \{ x \in X \mid \exists i \in I ,f(x) \in U_i \} \\ &= \{ x \in X \mid \exists i\in I, x \in f^{-1}(U_i) \} \\ &= \bigcup_{i \in I} f^{-1}(U_i) \end{align*}



Rem.1.

1.および12.について、一般に等号は成立しません。例えば、A,B はともに空集合でないが、A \cap B は空集合になってしまうケースを考えれば、明らかに等号が成り立ちません。

一方で、3.および4.や、14.および15.が示すように、逆像についてはいつでも等号が成立します。このことはある意味で、像よりも逆像の方が良い性質を持っていると考えることができます。



Rem.2.

6.および7.についても、一般に等号は成立しません。こちらについては具体例を挙げてみましょう。



◇Ex.SetTop.3.5.2.

X= \{1,2,3,4,5\},Y=\{10,20,30,40,50,60,70\}
A=\{1,2\} \subset X,U= \{10,20,30 \} \subset Y とし、
f \colon X \rightarrow Y
f(1)=f(2)=f(3)=10,f(4)=f(5)=20 で定義します。

f(A)=\{10\} であり、f^{-1}(f(A))= \{1,2,3 \} \supsetneq A となります。
f^{-1}(U)= \{1,2,3,4,5\} であり、f(f^{-1}(U))= \{10,20\} \subsetneq U となります。


 

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