大学数学

集合.21 上界、下界、上限、下限、最大元、最小元、極大元、極小元

上界、下界、上限、下限、最大元、最小元、極大元、極小元

整列可能定理もツォルンの補題も順序に関連する概念を用いて述べられます。そこで、いくつか順序に関係する用語を定義しておきます。


◆Def.SetTop.2.21.1.

X を集合、\leqX 上の順序とし、A \subset X,x \in X とする。

xA の上界である \overset{\mathrm{def}}{\Leftrightarrow} \forall y \in A, y \leq x
xA の下界である \overset{\mathrm{def}}{\Leftrightarrow} \forall y \in A, y \geq x
xA の最大元である \overset{\mathrm{def}}{\Leftrightarrow} x \in A ,\forall y \in A, y \leq x
xA の最小元である \overset{\mathrm{def}}{\Leftrightarrow} x \in A ,\forall y \in A, y \geq x
xA の上限である  \overset{\mathrm{def}}{\Leftrightarrow} x は集合 \{ y \in X \mid yA の上界 \} の最小元である
xA の下限である  \overset{\mathrm{def}}{\Leftrightarrow} x は集合 \{ y \in X \mid yA の下界 \} の最大元である
xA の極大元である \overset{\mathrm{def}}{\Leftrightarrow} x \in A かつ y \gneq x となる y \in A は存在しない
xA の極小元である \overset{\mathrm{def}}{\Leftrightarrow} x \in A かつ y \lneq x となる y \in A は存在しない

A の上限を \sup A、下限を \inf A と書く。また、A の最大元を \max A、最小元を \min A と書く。


Rem.1. これらは必ずしも存在するとは限りません。

Rem.2. もし A に最大元が存在すれば、それは A の上限であり極大元にもなっています。同様に、A に最小元が存在すれば、それは A の下限であり極小元にもなっています。このことは定義から直ちに確かめられます。


◇Ex.SetTop.2.21.2.

\mathbb{R} の区間 [0,1] について考えてみましょう。順序としては通常の大小関係を考えます。

2[0,1] の上界です。3 \( [0,1] の上界です。1/2 は  \( [0,1] の上界ではありません。
-1[0,1] の下界です。-2 \( [0,1] の下界です。1/2 は  \( [0,1] の下界ではありません。
[0,1] の最大元は 1 です。最大元が存在するため、上限も極大元も 1 となります。
[0,1] の最小元は 0 です。最小元が存在するため、下限も極小元も 1 となります。

次に、区間 (0,1) について考えてみましょう。

2(0,1) の上界です。3 \( (0,1) の上界です。1/2 は  \( (0,1) の上界ではありません。
-1(0,1) の下界です。-2 \( (0,1) の下界です。1/2 は  \( (0,1) の下界ではありません。
(0,1) の最大元は存在しません。任意の x \in (0,1) に対して、例えば x+(1-x)/2 とすれば、x+(1-x)/2 \in (0,1) かつ x< x+(1-x)/2 であり、x より大きくて (0,1) に属する元が必ず存在するからです。 同様の議論により、極大元も存在しません。
(0,1) の最小元は存在しません。任意の x \in (0,1) に対して、例えば x/2 とすれば、x/2 \in (0,1) かつ x/2 < x であり、x より小さくて (0,1) に属する元が必ず存在するからです。同様の議論により、極小元も存在しません。
(0,1) の上限は 1 です。実際、1 は上界になっており、1 より小さな数は最大元における議論から上界にはなり得ないからです。
(0,1) の下限は  0 です。実際、 0 は下界になっており、 0 より大きな数は最小元における議論から下界にはなり得ないからです。



◇Ex.SetTop.2.21.3.

\mathbb{Z} のべき集合 2^{ \mathbb{Z} } の部分集合 X を次のように定めます。

X \overset{\mathrm{def}}{=} \{ (n) \mid n \in \mathbb{N}, n \neq 1 \}
ただし、(n)  = \{ na \mid a \in \mathbb{Z} \} すなわち (n)n の倍数全体の集合とする。

X に包含関係 \subset によって順序を定めます。すなわち、a,b \in \mathbb{Z} として、(a) \subset (b) のとき (a) \leq (b) と定めます。

例えば、 4 の倍数は 2 の倍数であることから、(4) \subset (2) となります。6 の倍数は 2 の倍数かつ 3 の倍数であることから、(6) \subset (2)(6) \subset (3) が言えます。

このようにして考えていくと、X には極大元が存在し、それは p を任意の素数として (p) であることがわかります。

実際、p を割り切るのは 1 か p 自身しかありませんが、X の定義で n \neq 1 としているため (1) は X の元ではないので、(p) より真に大きい X の元は存在しません。

一方で (p)X の最大元ではありません。p と異なる素数 q について、(p) \not \subset (q) かつ (q) \not \subset (p) であるためです。


 

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