大学数学

集合.18 集合の濃度.3 連続体濃度を持つ集合

非可算集合

可算濃度 \aleph_0 よりも濃度が大きな集合を非可算集合と言うのでした。最終的に対角線論法というものを用いて、実数全体の集合 \mathbb{R} が非可算であることを示しますが、その前に \mathbb{R} と同じ連続体濃度  \aleph を持つ集合について少し調べておきましょう。

連続体濃度を持つ集合


◆Prop.Set&Top.2.17.1.

a,b \in \mathbb{R},a<b とすると、
\mathbf{card}((a,b)) = \mathbf{card}(\mathbb{R})= \aleph


■Prf.

f \colon (a,b) \rightarrow \mathbb{R}

f(x) = \frac{x- \frac{b+a}{2}}{(x-a)(b-x)}, x \in (a,b)

と定義すると、f は全単射となる。

実際、任意の r \in \mathbb{R} に対して、ただ一つ x \in (a,b) が存在して f(x) = r となることを示す。

r=0 のとき、f(x) =0 より x= \frac{b+a}{2} を得る。

r \neq 0 のとき、f(x) = r より  x- \frac{b+a}{2} = r(x-a)(b-x) を解くと、

x= \frac{ b+a - \frac{1}{r} \pm \sqrt{ (b-a)^2+ \frac{1}{r^2}}}{2}

を得る。ここで、

r >0 のとき
\frac{ b+a - \frac{1}{r} - \sqrt{ (b-a)^2+ \frac{1}{r^2}}}{2} < \frac{ b+a - \frac{1}{r} - (b-a)}{2} < a 
a< \frac{b+a}{2}< \frac{ b+a - \frac{1}{r} + \sqrt{ (b-a)^2+ \frac{1}{r^2}}}{2} < \frac{ b+a - \frac{1}{r} + (b-a) + \frac{1}{r}}{2} = b 
r <0 のとき
\frac{ b+a - \frac{1}{r} + \sqrt{ (b-a)^2+ \frac{1}{r^2}}}{2} > \frac{ b+a - \frac{1}{r} + (b-a)}{2} > b 
a=  \frac{ b+a - \frac{1}{r} -( (b-a) - \frac{1}{r} )}{2} < \frac{ b+a - \frac{1}{r} - \sqrt{ (b-a)^2+ \frac{1}{r^2}}}{2} < \frac{b+a}{2} < b 

であるから、確かに任意の r \in \mathbb{R} に対して、ただ一つ x \in (a,b) が存在して f(x) = r となっている。

よって、f は全単射であることから示された。 □



◆Prop.Set&Top.2.17.2.

a,b,c,d \in \mathbb{R},a<b,c<d とすると、
(ⅰ) \mathbf{card}((a,b)) = \mathbf{card}((c,d))
(ⅱ) \mathbf{card}([a,b]) = \mathbf{card}([c,d])
(ⅲ) \mathbf{card}([a,b)) = \mathbf{card}([c,d))
(ⅳ) \mathbf{card}((a,b]) = \mathbf{card}((c,d])
(ⅴ)  \mathbf{card}((a,b)) = \mathbf{card}([a,b]) =\mathbf{card}([a,b)) = \mathbf{card}((a,b])

したがって、空集合または一点である場合を除き、開区間、閉区間、半開区間の濃度は \aleph に等しい。


■Prf.

(ⅰ)~(ⅳ)

f \colon [a,b] \rightarrow [c,d]

f(x)= c + \frac{d-c}{b-a}(x-a)

で定めると、f[a,b] から [c,d] への全単射になっている。

さらに f は、(a,b) から (c,d)[a,b) から [c,d)(a,b] から (c,d] への全単射にもなっている。

よって、示された。

(ⅴ)

まず、\mathbf{card}((a,b)) \leq \mathbf{card}([a,b)) を示す。

(a,b) \subset [a,b) から、次のような包含写像 i \colon (a,b) \rightarrow [a,b),i(x) = x, x \in (a,b) は単射となる。

したがって、 \mathbf{card}((a,b)) \leq \mathbf{card}([a,b)) である。

同様に、(a,b) \subset [a,b) \subset [a,b] \subset (a-1,b+1) より、 \mathbf{card}((a,b)) \leq \mathbf{card}([a,b)) \leq \mathbf{card}([a,b]) \leq \mathbf{card}((a-1,b+1))

であり、一方で先ほど証明した (ⅰ) より

 \mathbf{card}((a,b)) =  \mathbf{card}((a-1,b+1))

したがって、ベルンシュタインの定理から、

\mathbf{card}((a,b)) = \mathbf{card}([a,b)) = \mathbf{card}([a,b]) = \mathbf{card}((a-1,b+1))

\mathbf{card}((a,b)) = \mathbf{card}((a,b]) も同様にして示される。 □



◆Prop.Set&Top.2.17.3.

a \in \mathbb{R} とすると、

\mathbf{card}((a,+ \infty)) = \mathbf{card}([a,+ \infty)) = \mathbf{card}((- \infty,a)) = \mathbf{card}((- \infty,a])= \mathbf{card}(\mathbb{R})= \aleph


◆Prf.

\mathbf{card}((a,+ \infty)) = \mathbf{card}(\mathbb{R}) を示す。

f \colon (a, + \infty ) \rightarrow \mathbb{R}

f(x) = \log(x-a), x>a で定義すると、f は全単射である。よって、\mathbf{card}((a,+ \infty)) = \mathbf{card}(\mathbb{R}) が成り立つ。

\mathbf{card}((- \infty,a)) = \mathbf{card}(\mathbb{R}) を示す。

g \colon (- \infty,a) \rightarrow \mathbb{R}

g(x) = \log(a-x), x<a で定義すると、g は全単射である。よって、\mathbf{card}((- \infty,a)) = \mathbf{card}(\mathbb{R}) が成り立つ。

\mathbf{card}((a,+ \infty)) = \mathbf{card}([a,+ \infty)) については、(a,+ \infty) \subset [a,+ \infty) \subset (a-1,+ \infty) から、Prop.Set&Top.2.17.2.(ⅴ) の証明と同様にして従う。

 \mathbf{card}((- \infty,a)) = \mathbf{card}((- \infty,a]) についても同様。 □


実は、 \mathbf{card}(\mathbb{R}^2)=  \mathbf{card}(\mathbb{R}) なども成り立つ(平面と直線の点の濃度は等しい)のですが、それは次回やりましょう。

 

<集合 その16へ

記事一覧(大学数学)に戻る

関連記事

  1. 大学数学

    写像.9 圏、特別な射と記号、可換図式

    圏、特別な射ここで、あまり深入りはしませんが、圏論的な全射、単…

  2. 大学数学

    論理記号.1 よく使う論理記号一覧、命題

    論理記号とは~数学を記述する上での基本言語~数学においてよく使…

  3. 大学数学

    写像.6 標準的な写像の例

    標準的な写像の例今回はいくつかの標準的な写像について例を挙げて…

  4. 大学数学

    写像.7 全射の性質

    全射の性質全射であることを同値な条件で言い替えることで特徴付け…

  5. 大学数学

    集合.8 「同一視する」という考え方

    写像を少しだけ予習一般の場合の積集合を定義するためには、写像と…

  6. 大学数学

    写像.5 像と逆像に関する演算

    像と逆像に関する演算ここでは、像と逆像に関する演算についてまと…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

アーカイブ

  1. 大学数学

    集合.11 二項関係.1 順序
  2. 大学数学

    集合.20 選択公理
  3. 大学数学

    写像.5 像と逆像に関する演算
  4. 大学数学

    論理記号.6 否定の作り方
  5. 大学数学

    集合.7 積集合(n個の場合)
PAGE TOP
error: Content is protected !!