大学数学

集合.17 集合の濃度.2 可算集合

どこまでが高々可算集合なのか?

自然数全体の集合 \mathbb{N} の濃度を \aleph_0 と表し、濃度が  \aleph_0 以下の集合を高々可算集合と言うのでした。

可算の濃度 \aleph_0 は、実は最小の無限の濃度です。

なぜなら、もし X が無限集合ならば、相異なる元 x_1,x_2, \dots , x_n , \dots を無限に取ることができて、写像 f \colon \mathbb{N} \rightarrow Xf(n)= x_n, n \in \mathbb{N} で定めれば、f は単射となるので、

\aleph_0 = \mathbf{card}(\mathbb{N}) \leq \mathbf{card}(X)

となるからです。

では、果たしてどこまで大きな集合が高々可算集合となるのでしょうか。

まずは一般的事実を示し、さらに例を見ていきましょう。

高々可算集合に関する一般的事実

次が成り立ちます。


◆Prop.Set&Top.2.16.1

(ⅰ) A_1,A_2, \dots , A_n高々可算集合とする。このとき、A_1 \times A_2 \times \dots \times  A_n高々可算集合である。
(ⅱ) I高々可算集合であり、(A_i)_{i \in I }高々可算集合の族とする。このとき、\bigcup_{ i \in I } A_i高々可算集合である。


■Prf.

(ⅰ)

数学的帰納法より、n=2 の場合に示せば十分である。
(一般の場合は、A_1 \times A_2 \times \dots \times A_n = (A_1 \times A_2 \times \dots A_{n-1}) \times A_n と見て、n=2 の場合の結果を適用すれば示せる)

高々可算集合の定義より、A_1, A_2 から \mathbb{N} への単射 f_i \colon A_i \rightarrow \mathbb{N},i=1,2 が存在する。
そこで、次の写像

f_1 \times f_2 \colon  A_1 \times A_2 \rightarrow \mathbb{N}^2
f_1 \times f_2 (( a_1,a_2))=( f_1(a_1),f_2(a_2))
a_i \in A_i, i=1,2

は単射である。

したがって、\mathbf{card}( A_1 \times A_2) \leq \mathbf{card}(\mathbb{N}^{2}) であるから、\mathbb{N}^2 が可算集合であることを示せばよい。

ここに、次のような写像 g \colon \mathbb{N} \rightarrow \mathbb{N}^2 を考える。

g(0) = (0,0),g(1)=(1,0),g(2)=(0,1),g(3)=(2,0),g(4)=(1,1),g(5)=(0,2), \dots

図式すると以下のような対応である。

0 \rightarrow 1 \rightarrow 2 \rightarrow 3 \rightarrow 4 \rightarrow 5 \rightarrow 6 \rightarrow 7 \rightarrow 8 \rightarrow \cdots
 (0,0) \rightarrow (1,0) \rightarrow (0,1) \rightarrow (2,0) \rightarrow (1,1) \rightarrow (0,2) \rightarrow (3,0) \rightarrow (2,1) \rightarrow \cdots

すなわち、\mathbb{N}^2 の元を (p,q), p+q=mm の値が小さい順に並べて、それぞれに自然数が対応しているような写像が g である。g は全単射となる。

したがって、\mathbf{card}(\mathbb{N}) = \mathbf{card}(\mathbb{N}^{2}) であるから、示された。

Rem.

g をきちんと式で表すと、

g( \frac{(p+q)(p+q+1)}{2} + q +1 )=(p,q) となるような写像である。

考え方は、a+b = i となる (a,b)(i,0),(i-1,1), \dots , (0,i)i +1 個あるので、g を定義する際の \mathbb{N}^2 の元で、(0,p+q-1) が何番目に来るかを考えれば、

    \[ \sum_{i=0}^{p+q-1} (i+1) = \frac{(p+q)(p+q+1)}{2} \]

番目に来るから、g(\frac{(p+q)(p+q+1)}{2})=(0,p+q-1)

(p,q) は並び順で (0,p+q-1)q+1 個後になるので、このように定義される。

さて、一般の n \in \mathbb{N} に対して g(n) を求める。

p+q=m \in \mathbb{N} とすると、 \frac{(p+q)(p+q+1)}{2} + q +1 =n のとき、 \frac{m(m+1)}{2} + q +1 =n である。

ここで、 \frac{m(m+1)}{2} \leq n < \frac{(m+1)(m+2)}{2} となるような自然数 m を求めると、

 \frac{-3+ \sqrt{8n+1}}{2} < m \leq \frac{-3+ \sqrt{8n+1}}{2}+1

この区間の幅は 1 なので、この不等式を満たす自然数 m はただ一つ存在する。その自然数を m_n として、 \frac{m(m+1)}{2} + q +1 =n に代入して、

q= n- \frac{m_n(m_n+1)}{2} -1

p+q =m_n より、

p= \frac{(m_n+1)(m_n+2)}{2} - n 

よって、

g(n) =(\frac{(m_n+1)(m_n+2)}{2} - n,n- \frac{m_n(m_n+1)}{2} -1)
ただし、m_n は  \frac{-3+ \sqrt{8n+1}}{2} < m_n \leq \frac{-3+ \sqrt{8n+1}}{2}+1 を満たすただ一つの自然数

(ⅱ)

(ⅰ) の結果より、I \times \mathbb{N} は高々可算集合である。ここで、各 A_i は高々可算集合であるから、全射 f_i \colon \mathbb{N} \rightarrow A_i が存在する。

写像 h \colon  I \times \mathbb{N} \rightarrow \bigcup_{ i \in I } A_ih(i,n) = f_i(n), i \in I,n \in \mathbb{N} と定めると、各 f_i が全射であることから、h は全射である。

したがって、 \mathbf{card}( I \times \mathbb{N}) \geq \mathbf{card}(\bigcup_{ i \in I } A_i) となるから、示された。 □


この事実を使って、いくつか集合を見ていきましょう。


◇Ex.Set&Top.2.16.2

整数全体の集合 \mathbb{Z}可算であることは既に見ました。

有理数全体の集合  \mathbb{Q}可算になります。

写像 f \colon \mathbb{Z} \times  \mathbb{N}^{+} \rightarrow \mathbb{Q}f((m,n))=m/n, m \in \mathbb{Z},n \in \mathbb{N}^{+} で定めると、f は全射です。

一方、Prop.Set&Top.2.16.1.(ⅰ)より、 \mathbb{Z} \times  \mathbb{N}^{+} は可算集合なので、 \mathbb{Q} も可算集合となります。



◇Ex.Set&Top.2.16.3

整数係数の方程式

a_nx^{n}+a_{n-1}x^{n-1}+ \dots + a_0 =0, a_i \in \mathbb{Z},i=0,1, \dots ,n

の解となる複素数のことを代数的数と言います。解とならない複素数のことを超越数と言います。

代数的数全体の集合が可算集合であることを示しましょう。

まず、整数係数の多項式全体の集合を \mathbb{Z}[x] と表し、n 次多項式全体の集合を \mathb{Z}_{n} [x] と表します。

各次数 n について、整数の組 a_i \in \mathbb{Z},i=0,1, \dots ,n を定めれば整数係数の方程式は定まりますから、

写像 p \colon \mathbb{Z}^{n+1} \rightarrow  \mathb{Z}_{n} [x]p( (a_0,a_1, \dots,a_n)) = a_nx^{n}+a_{n-1}x^{n-1}+ \dots + a_0 と定めれば、p は全射です。

Prop.Set&Top.2.16.1.(ⅰ)より、 \mathbb{Z}^{n+1} は可算集合ですから、\mathb{Z}_{n} [x] は可算集合となります。

したがって、Prop.Set&Top.2.16.1.(ⅱ)より、

\mathbb{Z}[x] = \bigcup_{n=0}^{ \infty } \mathb{Z}_{n} [x]

は可算集合です。

ところで、代数的数全体の集合は、次のように表すことができます。

\bigcup_{f(x) \in \mathbb{Z}[x]} \{ x \in \mathbb{C} \mid f(x)=0 \}

さて、n 次方程式は高々 n 個の解しかもたないことが知られています。(代数学の基本定理

すなわち、 \{ x \in \mathbb{C} \mid f(x)=0 \} は高々 n 個の元しか持たない有限集合です。

したがって、 \mathbb{Z}[x] が可算であることより、再びProp.Set&Top.2.16.1.(ⅱ)から、代数的数全体の集合

\bigcup_{f(x) \in \mathbb{Z}[x]} \{ x \in \mathbb{C} \mid f(x)=0 \}

は可算となります。


 

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