大学数学

集合.7 積集合(n個の場合)

積集合( n 個の場合)

例えば、x,y \in \mathbb{R} について、そのペア (x,y) を考えると、これはいわゆる xy 平面の点になります。また、x,y,z \in \mathbb{R} について、3つの元の組 (x,y,z) を考えると、これはいわゆる xyz 空間の点になります。

この概念を一般の集合に対して拡張したものが積集合です。

集合 X,Y について、x \in Xy \in Y のペア (x,y) を考えます。そして、ペア全体の集合というものを考えます。これを XY の積集合と言い、X \times Y で表します。すなわち、


Def.SetTop.2.7.1.

 X \times Y \overset{\mathrm{def}}{=} \{ (x,y) \mid x \in X \land y \in Y \}


です。

同様に、n 個の集合についても積集合を考えることができます。集合 X_1,X_2, \dots , X_n に対し、各 x_i \in X_i , i=1,2, \dots , n による n 個の元の組 (x_1,x_2, \dots , x_n) を考えます。そして、この組 (x_1,x_2, \dots , x_n) すべての集合を考えます。これを X_1,X_2, \dots , X_n  の積集合といい、X_1 \times X_2 \times \dots \times X_n と表します。すなわち、


Def.SetTop.2.7.2.

 X_1 \times X_2 \times \dots \times X_n \overset{\mathrm{def}}{=} \{ (x_1,x_2, \dots , x_n) \, | \, x_i \in X_i , i=1,2, \dots , n \}


となります。

特に、X_1 = X_2 = \cdots = X_n = X のときは、 X_1 \times X_2 \times \dots \times X_nX^n と表します。

なので例えば、上の xy 平面は \mathbb{R}^2 と表し、xyz 空間は  \mathbb{R}^3 と表します。

注意:単なる集合の場合は、例えば \{1,2 \} = \{2,1 \}順番を考慮しない)ですが、xy 平面では x 座標と y 座標が一致しなければ点としては異なるように、(1,2) \neq (2,1)順番を考慮する)です。

一般に (x_1,x_2, \dots , x_n ) = ( y_1,y_2, \dots , y_n ) \overset{\mathrm{def}}{\Leftrightarrow} \forall i=1,2, \dots , n \hspace{8px} x_i=y_i です。


Ex.SetTop.2.7.3.

X= \{ 1,2 \}, Y = \{ 1,2,3 \} とすると、

X \times Y = \{ (1,1),(1,2),(1,3),(2,1),(2,2),(2,3) \}

となります。

また元の個数(濃度という。詳しくは 集合.15 集合の濃度.1 濃度の定義と比較方法 を参照)について考えると、X \times Y の元 (x,y) は、X の元 1,2 からの選び方が 2 通り、Y の元 1,2,3 からの選び方が 3 通りあるので、全部 2 \times 3 = 6 個あります。

同様に考えて、X の濃度が mY の濃度が n のとき、X \times Y の濃度は mn となります。これが積集合という名前の由来です。

 X_1 \times X_2 \times \dots \times X_n の場合もやはり同様に考えて、各 X_i  の濃度が m_i のとき、 X_1 \times X_2 \times \dots \times X_n の濃度は m_1 m_2 \cdots m_n となります。

無限集合のときは一般にこの関係は成り立ちませんが、積集合という名前はそのまま使います。

また、

Y \times X = \{ (1,1),(1,2),(2,1),(2,2),(3,1),(3,2) \}

なので、X \times Y \neq Y \times X です。

一般に集合では積の交換則は成り立たないので注意しましょう。



Rem.1. ペア (x,y) ですが、実は「そのようなもの」という説明をしただけで、既知の集合からきちんと構成して定義はしていませんでした。きちんと定義するとこのようになります。(テクニカルです)

(x,y) \overset{\mathrm{def}}{=} \{ \{x,y \} , \{y \} \}

なぜこのような定義にしたのかと言うと、(x,y) = (a,b) \Leftrightarrow ((x=a) \land (y=b)) という性質が成り立つように定義しています。

実際、

 (x,y) = (a,b)
 \Leftrightarrow
  \{ \{x,y \} , \{y \} \} =  \{ \{a,b \} , \{b \} \}
 \Leftrightarrow
  (\{x,y \} = \{a,b \} ) \land (y = b)
 \Leftrightarrow
(x=a) \land (y=b)

となります。

ただし、別にこの定義の仕方にこだわる必要はなくて、

(x,y) \overset{\mathrm{def}}{=} \{ \{x,y \} , \{x \} \}

と定義しても同じ性質が成り立つので、これでもよいです。

また、3つ以上の元の組については、帰納的に

(x_1,x_2, \dots , x_n ) \overset{\mathrm{def}}{=} ((x_1,x_2, \dots , x_{n-1}),x_n)

と定義します。

しかしながら、一度定義してしまえば、こんなもって回ったような定義に立ち戻って考えることは基本的にありません。(x,y) とは「x \in  X,y \in Y である2つの元を順に(順番を考慮して)選び取ったものである」という性質(本質)の方が重要です。

数学では、技術的な定義(見た目)そのものよりも性質(本質)の方が重要という場面がよくあります。定義は確かに重要ですが、それが結局何を表しているのかというイメージ、本質を掴むことがより大切です。


積集合(一般の場合)に向かって

共通集合や和集合のときのように、一般の集合族 (X_i)_{i \in I} について積集合を定義したいのですが、現状の定義をそのまま拡張して定義することは残念ながらできません。

例えば、I =[0,1] のときに、ペアや n 個の組のようにはとても書けないですよね。無数に集合があるわけなので。

ここで大切になってくることが、積集合が満たすべき性質(本質)です。「 i \in I に対して x_i \in X_i が順に(順番を考慮して)選ばれている」ということが大切なのです。

一般の場合の積集合は、写像という概念を用いて、一見まったく異なる見た目で定義されます。しかし、大切なのは見た目ではありません。上に述べた性質(本質)を満たすものであるということです。このことさえ念頭に置けば、一般の場合の積集合も自然な定義に見えてくることでしょう。

 

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