すべての、任意の
集合 に属する任意の
について、命題
が成り立つとき、
と表します。
また、条件 を満たす任意の
について、命題
が成り立つとき、
などと表します。ここで、s.t.はsuch that(そのような)の略です。
で実数全体の集合を表します。
「任意の実数 について、
が成り立つ」という命題は、
と書けます。
「任意の正の実数 について、
が成り立つ」という命題は、
と書けます。
~が存在する、~が少なくとも一つある
集合 に属する少なくとも一つの
について、命題
が成り立つとき、
と表します。
また、条件 を満たす
について、命題
が成り立つものが(少なくとも一つ)存在するとき、
などと表します。
「 の方程式
の解のうち、少なくとも一つは正である」という命題は、
と書けます。
で実数係数多項式全体の集合を表します。
「任意の奇数次実数係数多項式 について、
を満たす実数
が少なくとも一つ存在する」という命題は、
は奇数次多項式
と書けます。
と
の順序には要注意
や
のように、同じもの同士であれば、順序を逆にして
や
としても、まったく同じ意味を持つため問題になりません。
そこで
を
を
のように略して書く書き方も許容され、実際よく使われます。
ですが、 と
が混じっている場合は要注意です。
一般に
と
はまったく意味が異なるのです。
ここでは、 と
は実数とします。
という2つの命題を考えましょう。
1つ目の命題は、「任意の に対して、ある
が存在して
である」という解釈をします。まず先に任意の
を持ってきて、それに応じてある
が存在して、と読むのです。
ある の値と言うのは、
の値に依存して変わってもよいということです。
具体的な値の で確かめてみると、
のとき、
とすれば、
のとき、
とすれば、
となり、確かに は存在しています。
任意の については、
とすれば、
となり、確かに は存在しています。
したがって、1つ目の命題は真となります。
一方で、2つ目の命題は「ある が存在して、任意の
に対して
である」という解釈をします。先にある
を持ってきて、その特定の
に対して、任意の
で命題が成立しなければならないと言っています。
つまり、最初に を選んだら、どんな
に対しても、それに依存して
を変化させることは許されないというわけです。1つ目の命題に比べて非常に厳しいことを言っているのがわかるでしょうか?
具体的な値の で確かめてみましょう。「任意の
に対して
である」が成り立つような
が存在するかという視点で考えます。
「任意の に対して
である」が成り立つ
は、
ではあり得ません。なぜなら、
とすれば、
となり、 に対して
が成立しないからです。
「任意の に対して
である」が成り立つ
は、
ではあり得ません。なぜなら、
とすれば、
となり、 に対して
が成立しないからです。
一般に、「任意の に対して
である」が成り立つ
が存在しないことを示しましょう。
それには、どんな を持ってきても、「任意の
に対して
である」が成立しないこと、すなわち任意の
に対し、
であるような
が少なくとも一つ存在することを示せばよいです。
任意の に対して、
とします。すると、
となり、 です。よって示されました。
したがって、2つ目の命題は偽ということになります。
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