大学数学

大学数学概説.5 大学3、4年生レベルの科目(解析)

ルベーグ積分

大学1、2年生でやってきた積分はリーマン積分と言います。

リーマン積分とは、どのようなものだったでしょうか。

例えば、xy 平面上で考えてみましょう。関数 y=f(x)x 軸、および x=a,x=b (a<b) によって囲まれた図形の面積を求めたいとします。

このとき、定義域を細かい区間に分割して、それぞれの区間をは幅とし、関数の値を高さとした長方形をたくさん作り、これら長方形の面積の和でもって求めたい図形の面積を近似します。

定義域の分割のしかたを限りなく細かくしていくと、長方形も際限なく細かくなっていき、これら長方形の面積の和は、ついには求めたい図形の面積そのものになるでしょう。

リーマン積分は、この考え方を一般の関数に対して厳密に記述したものです。

面積や体積(一般に n 次元体積)を求めたい図形を、長方形もしくは直方体(一般に n 次元直方体)によって分割近似することによって、リーマン積分は定義されます。逆に言うと、このような近似ができなければ、リーマン積分は計算できない(可積分ではない)ということになります。

ここで問題にしたいことは、図形の面積や体積を測りたいというとき、何も定義域を幅とした長方形分割にこだわる必要はないのではないか、ということです。

例えば、値域を幅として横に分割するということもできるでしょう。小さな円盤や球を敷き詰めて近似することもできるでしょう。

このように図形の面積や体積に対しては、色々な「測り方」が考えられます。

では、「測る」ということはどういうことでしょうか。「測る」という概念を抽象化、一般化した概念を測度と言います。

位相が「空間」という概念を規定する言葉であるように、測度は「測る」という概念を規定する言葉です。

測度を入れた集合を測度集合と言い、測度集合の上では積分が定義されます。これをルベーグ積分と言います。

したがってルベーグ積分とは、「測る」ということをリーマン積分よりもずっと一般化したものであるということです。リーマン積分では計算できない積分も、ルベーグ積分を用いれば計算できることがあります。

フーリエ解析

例えば、声を音波として見ると複雑な波の形をしています。声の解析をするとき、より単純な波(正弦波、余弦波)の和として表現できると性質がよくわかります。

このように、複雑な関数をより単純な形の関数の和(積分)によって表現する手法がフーリエ解析です。ルベーグ積分を基礎として、フーリエ解析の手法と理論的側面について学んでいきます。

確率論

高校までの確率は、いわゆる場合の数を数え上げて計算する確率がほとんどでした。このように数え上げの問題に帰着できる確率は、一般的に離散確率というものの範疇です。

一般には、連続確率と言って、実数区間のような連続した定義域の上で確率密度関数(全定義域にわたって積分すると全確率1になるような関数)が与えられることも多いです。

離散確率、連続確率をひっくるめて、一般的な確率というものをどのように考えたらよいでしょうか。

実は、上で説明した測度という概念が確率というものを厳密に基礎付けるのに役に立ちます。

確率というものが満たすべき性質を備えた測度を構成します。これを確率測度と言い、一般的な確率論は確率測度空間上でルベーグ積分を用いて記述されます。したがって、確率論は解析学の一分野に属するというのが現代的な見方です。

偏微分方程式

一変数関数について微分の形で表現された方程式を常微分方程式と言います。一方で、多変数関数について微分の形で表現された方程式を偏微分方程式と言います。

微分方程式は一般には解けないことが多いため、直接解かずに性質を理論的に把握する手法や、あるいは数値的に解析する手法が研究されています。

純粋数学の分野としてももちろん重要ですが、他の自然科学や社会科学ではしばしば偏微分方程式が登場するため、応用上も重要な分野となっています。

関数解析

特定のクラスの関数全体や、それらの微分や積分を一種の写像(作用素)と考えると、関数、微分や積分全体の集合は線形性を持ち、したがって線形空間となります。

こうした線形空間は一般には非常に大きく、無限次元です。特定のクラスの関数や、作用素がなす無限次元線形空間に適当な位相を入れ、線形位相空間としてその性質を調べる分野が関数解析です。俗に無限次元線形代数と言うこともあります。

多変数複素解析

一変数複素解析を多変数に拡張して研究する分野が多変数複素解析です。一変数のときに成立していた定理をそのまま拡張できることもあれば、多変数となったことで成立しなくなっていることもあります。より一般の複素多様体について研究している方も多くいます。

 

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